ソロの演奏の仕方について
本田雅人さんが1ヶ月前に解説していた動画を見て、なるほどなぁと思った事と、子供たちが今通っているピアノ教室でやっていることや、今まで自分が聞いてきた話の中で色々と共通点があったりしたので今日はソロ演奏について語ってみたいと思います。
動画でも同じ話をしてますので、こちらをどうぞ!
まず、ご紹介するのは本田雅人さんの動画なんですが、こちらです。
「アドリブってどうなっているの?」トーク配信
https://www.youtube.com/watch?v=rfQk7QXySsE
これ見ると分かるんですけど、本田雅人さんってめちゃめちゃレジェンドだしテクニシャンだし、技巧派な人なんですが、その上でものすごく謙虚なんですよ。
でも、言うべき所、主張するところははっきりと言う人で、まあ、当たり前たら当たり前なのかもですけど、すげー芯がドーン!!ってある人で、芯がめっちゃ太いのに高圧的じゃないっていう両極端を持ち合わせたとても魅力的な人なんです。
喋り方から言葉の選び方や、話している内容からコメント欄の皆さんの言葉などからもそれが伺えると思います。
なんだろう?
やっぱりいい人の周りにはいい人が、素晴らしい人の周りには素晴らしい人が集まる感じなのでしょうか?
そして、何より音色に聴き惚れる!
トークとトークの合間に繰り広げられる演奏がまた素晴らしくて、素敵!
ご本人曰く全然予習してないからちゃんとした演奏ではないみたいな事を言ってますけど、いやいやいや、聴いているこっちからしたら、もう最高に素晴らしい演奏の数々で、これをYou Tubeから観れるって最高の贅沢なんじゃないか?って思いますよ!!
それから、楽器奏者からしてこれが聞きたい!知りたい!って内容をピンポイントに掘り下げていってくれて、しかもトップオブトップの方のめっちゃ細かい解説が聞けるんですね。
まあ、なので、このチャンネルはサックス奏者でなくても楽器やってたり、音楽好きな人だったら、すごくお得なチャンネルになっているので、良かったらチャンネル登録されてみて下さい!
さて、本田さんのチャンネルについての説明はここらで一段落して、タイトルに書いたソロのやり方について書いていこうと思います。
まずは、本田さんが述べられていた方法について僕なりの解釈で説明してき、次にそれに対して自分が過去に聞いた話や今経験している事などを交えて書いていこうと思います。
まず、ソロを演奏する練習として本田さんは2つの軸においてそれぞれ簡易化することを勧めています。
一つ目の軸は音程で、まずコード、あるいはオケ(演奏データ)に対して一つの音(その曲のキーであるルート音)とそのオクターブだけを使って、吹いてみる練習をすると言っています。
例えば、キーがCメジャー(ハ長調)の曲だったら、C(ド)の音だけを使って適当に演奏する訳です。
なんで1つの音だけなの?って言うと、もし、ソロを初めてやる人にソロを教える人が
「さあ、何でもいいので自由に弾いて下さい!」
って言われたら、多分、何を弾いていいのか分からず、また、どんな風に弾いたらいいのか分からず、多くの人は戸惑うわけです。
たまにそれで本当に自由にやっちゃえる人とかも居ますが、多くの人は自由にと言われてもまず、何からどうしたらいいのだろう?って戸惑う訳です。
そこで、使う音を限定することによって、演奏する人はリズムだけに集中して考えることが出来るようになります。
使う音は決まっているので、その音をどんな風に演奏するか?
リズムを変えたり、オクターブを変えたり、或いは弾き方、吹き方、音の出し方を変えてみたり、音のダイナミクス(強弱)や長さを変えたりと、実は使う音以外にも考えるべき要素が沢山あることに気が付ける訳です。
そう、多くのソロをカッコよく演奏してみたいって考える人がスケールやコードなどに注目しがちなのですが、実は度の音を選ぶのか?というのは、数ある選択肢の中の一つでしかなく、ダイナミクス、出し方、リズムなど色んな要素が複雑に絡まり合って一つの演奏を生み出している事にあまり気が付かない人が沢山いると思います。
そして、脱線しますが、僕の敬愛する矢萩秀明先生曰く、こういったテクニカルな部分ですら、実はソロを構築する為の要素の約1/3に過ぎないと言っており、テクニックとしてのフィジカル(ピッキング(右手)、フィンガリング(左手)、奏法、音色)以外に、精神的な要素(インスピレーション、情熱、経験、表現欲、主張)と能力的な要素(聴力や記憶力、分析力、知識やリズム感など)がソロを演奏する上では欠かせないと言っております。
なので、そう考えると、ソロをやりたいと思っている人が中々ソロを演奏出来るようにならない理由の一つとして、見えている部分があまりにも少ないって事が挙げられるのかも知れません。
スケールやコードはフィジカル部分のごく一部で、まあ、スケールの形を覚えるのってフィンガリングに相当しますよね?
そうなると、フィジカルには他にもピッキング(ダイナミクスや音のキレなど)とか奏法、音色がるとすると、スケールを覚えることはフィジカルの約1/4に相当するとするならば、ソロを構成する全体からみると、1/3のフィジカルの1/4となるので、ソロを演奏する要素の内、約1/12しか見えていないことになります。
なるほど、そう考えると、1音だけでソロを演奏するってのは、この何も知らないでいると1/12だけにフォーカスしてしまいがちな所を、それ以外の部分に意識を分散させたり、気が付くのを促す意味でもとても意味のある練習なのだと言うことがよく分かります。
さて、少し脱線しましたが、本田さんのソロのやり方に戻ると、まずは1音だけでやったら、次は5度(ドに対してのソ)を加えて2音(ドとソ)で、その次に3度、2度、6度と少しづつ音を加えていきます。
因みに、ルート、5度、3度、2度、6度と5つの音になった時点で、実はペンタトニックスケールというスケールを演奏していることになります。
そして、ペンタの次は短3度(ブルーノート)を加えると、よりブルージーなソロが演奏出来るようになります。
こんな風に、まずは使う音をあえて限定する事で、自分が何の音を使っているのか?ちゃんと認識しつつ、コードやハーモニーに対してその音(キーにおけるルートや5度や3度)はどんな響きになるのかを一つ一つ確認しつつ経験的に理解していく事になります。
そして、さらにここからすごいのが本田節!
一つのキーで出来るようになったら、これを12のキーに拡張していきます。
例えば、まずはCメジャー(ハ長調)で出来るようになったら、次は別のキーで同じようにソロの練習をしていく訳です。
これは、動画中でも本田さんがおっしゃってましたが、ギターやベース、弦楽器の人にとっては実は割合キーの変更ってピアノや管楽器奏者に比べて楽なんですよね。
なぜかというと、弦楽器はピアノで言うところの白鍵と黒鍵の区別がなく、12の音全てが等しく並んでいます。
まあ、故に、ドレミファソラシドとかスケールを規則的に演奏するのに最初は苦労するのですが、この最初に苦労して覚えたスケールの規則性を覚えておけば、後はそのパターンを右に左にズラして演奏するだけで、移調(カラオケで上げたり下げたりする感じ)が出来てしまうのです。
ところが、管楽器やピアノは予め最初にドレミファソラシドが割りかし簡単に弾けるようになっています。
ピアノは白鍵をドから順番に弾けば勝手にCメジャースケールになりますし、管楽器はそれぞれの管のキーとなるメジャースケールが基本的な運指(最初に覚える指使い)となります。
ところがシャープやフラットのあるキーを弾く場合、それぞれに運指が異なるので、鍵盤や管楽器奏者は12キー分の運指をすべて覚える必要があるのです。
これが、一つの運指で12キー全て賄える弦楽器と、それぞれのキーに対して12パターン覚えなくてはならない鍵盤、管楽器奏者の違いです。
また、この運指の違いからか移動ド、固定ド、つまりは相対音感と絶対音感の違いみたいなのが出てくるようですが、よくよく省みるとバイオリンの人は運指は相対音感なのに、耳は絶対音感ですよね?
うーむ、そこら辺の考察はまた今度にします。
まあ、そんな感じでソロを弾くのに最初は1つの音からはじめ、徐々に増やしていき、最終的には12キー全てにまで拡張していくというやり方が一つでした。
次に、本田さんが言っているのは2つ目の軸としてテンポをゆっくりやるということです。
大抵の人は原曲だったり速いテンポで闇雲に突っ込んでいって、出来ないって嘆いてしまいがちなのですが、これもメチャメチャ遅くして、テンポを55とか60とかすごく遅い所からやるというのです。
そして、更にこれがまさに本田節!って思ったんですけど、一番テンポがゆっくりな練習方法は、譜面に書いて自分で楽譜を作ることだという事です!
これすごくないですか?
だって、譜面に書くって、簡単に言うと、時間を止めているわけですよ。
ディオですよ、スタープラチナですよ。
なるほど、確かに譜面への書き込みは最大のゆっくりテンポだなって思いましたよ!
そして、そんな中でもソロを演奏しているような状況と同じように作曲というか音を紡ぎ出していくんだそうです。
そうして、譜面に書き、ゆっくりなテンポで演奏し、徐々にそのテンポを上げていくと、オリジナルな速いテンポでも譜面に書いている時と同じように、クリエイティブなソロを紡ぎ出せるようになれるそうです。
因みにテンポアップは今日60でやったから明日は70、明後日は80みたいな感じではなく、1日1ずつくらい、つまりは今日60なら明日は61、明後日は62とめっちゃ地道ですがこれくらい徐々に上げていくのだと言っていました。
ここまで本田さんのお話を聞いて、なるほどなぁってシミジミ思ってしまいました。
さてさて、ここからは僕が過去に聞いた話と今体験している事を重ねていこうと思います。
まず、1軸目の音を1つに絞ってやるって話ですが、これは前にサックスとフルートを教えている友達が言っていた方法で、最初の体験レッスンで、まずひとつだけ音を出して、その音だけで一緒に演奏をするんだそうです。
こうして、セッションの楽しさ、楽器を吹くことの楽しさを体感してもらってから、実際のもっと突っ込んだ練習とか、レッスンに入っていくんだそうです。
また、前述の矢萩秀明先生(僕が勝手に本を読んで敬愛し先生と呼んでいるだけで直接教わったことはないです)もソロギターを弾くにあたり、まず最初にリズムのクリエイトについて述べられていました。
こんなことからもレジェンドの言っていたことに対して裏付けなんて言ったら大変失礼になってしまいますが、少なくとも同じ分野に於いて同じことを3人以上の人が口を揃えて言っている事って、きっと正しいんだと思うんですよね。
なので、ソロを練習する場合、まずは1音からリズムを作っていくって素晴らしいアプローチなのだなぁと思いました。
次に2軸目として本田さんが言っていた、最初はゆっくりでテンポ60くらいからでもいいってカラオケを60までテンポを落とすんですが、これを聴いた瞬間、これって今教わっている教室で取り入れられている教材のCDのテンポと全く同じくらいだったんですね。
その教室ではクラシック的な楽譜メインの教室ではなく、どちらかというとジャズよりなゆくゆくは自分で曲を作ったり、自由に表現していけるような教室なのですが、そこの教材のCDのオケは非常にゆっくりなテンポのオケにリズムやベースが加わったものが多いんですね。
時々早いテンポのものもあったりして、それはそれでスリリングに楽しみながら子供たちは弾いていますが、基本は大体60前後なのだと思います。
そして、その教室の教材の一つに自分で曲を書いてみようって箇所が何回も出てくるんですね。
これってまさに本田さんが言っていた、最大のゆっくりは譜面に書くことだってのと全く一緒ですよね。
教材では、スケール(大体ルートから5度までの5音)と使える音符(音の長さ)が指定されてたりして、その条件の中で音を書き込んでいき、それを自分で演奏するというワークがあるのです。
最初はとても戸惑っていましたが、徐々に勝手が分かってきたようで、今ではスラスラと戸惑わずに書いて弾いてってやってます。
また、何度も出てくる矢萩秀明先生もですね、スケールパターンを指で覚えるのも大事だが、一度自分でシーケンスなどを取り入れて楽譜に書いてみるといいって言ってるんですよね。
曰く、我々は音楽を頭で作り出している部分があるので、指の手癖だけでなく、頭で理解してフレーズを書いたりすると、より引き出しも増えるみたいな事を言っていたきがします。
そんな経緯から本田さんの最大のゆっくりは譜面への書き出しだ!ってのには非常に納得でした。
自分もあまり譜面に書くのは苦手なのですが、前に自分のデイリー用にMuseScoreでギターの楽譜を作った事があるのですが、自分で譜面を作ってからそれを弾くと、確かに覚えるのが早かったんですね。
そこから、今度は自分で音名を言いながら歌いながら今度はやろうとして、まあ、挫折してしまったんですが、それはまた別の時に語ります。
(なので僕は未だに手癖だけで弾いています)
さて、最後に昔一つの曲を12キーで演奏できるようにして、そういう感じに12キー全部弾ける曲を増やしていったらいいんじゃないか?って思った事があったんですけど、まあ、どっかでそれって無駄じゃね?って囁く自分がいたんですね。
ところが、レジェンド本田さんはそれをやっていたって聞いたもんですから、これは全然無駄なことじゃないんだなってまた勇気をもらった気がしました。
そう、この本田さんの動画を観てから、自分が思いついたこととか、考えたアイデアは全然いいんだって思えるようになったんですね。
なので、そんなこんだでここからは軽く宣伝ですが、これから歌謡曲を中心に色んな楽曲のオケを作って公開していこうと思います!
カラオケの練習、演奏(伴奏やメロディ)の練習、ソロの練習に使えるようにそれぞれ12キー(本田さん流?)のオケを作っていこうと思います!
レパートリーはジャズ系のものは既にiリアルとかですぐ手に入ると思うので、歌謡曲、ポップス、昔の80年代から90年代の曲メインで、最近の人気曲とかも取り入れつつみたいな感じでやってこうと思います。
基本的には無料公開で出していって、ある程度の規模になったら、特典を付けて有料化するとかそんな事を考えています。
もし、この曲のオケが欲しいってリクエストなどありましたら、コメントかTwitter、InstagramなどからDMいただけましたら、優先してその曲を作っていこうと思いますので、よかったらお気軽にメッセージ下さい。
今日はそんなところです。
@genchanelGenGen
genchannel_gengen
https://www.instagram.com/genchannel_gengen/
矢萩先生の本はこちら